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君と大惨事を作るRPG。 その名に違うことなく、『フィアスコ』のキャラクターたちはそのほとんどすべてが酷い目にあいます。死ぬことだって普通にあります。それはこのゲームが映画『ブラッド・シンプル』『ファーゴ』など、間抜けで三流の悪党がその身に合わない野望を抱いて、穴だらけの計画で大仕事に挑むといった映画からインスピレーションを受けて作られた作品だからで、酷い目にあうことが前提となっています。 では、そんなゲームが面白いのか。いや、それが面白いんです。面白くなるように設計されています。 作者が言うには、RPGの醍醐味や楽しみというのはマスタリングにこそあるそうです。そしてだからこそ全員がその演出に携われるよう、このゲームにはゲームマスターが存在していません。参加者全員が常に何らかの形で演出に関わるようになっていて、それは他人のキャラクターの演出にも及びます。そうゲームマスターはいないと言いましたが、ある意味逆で、全員がゲームマスターだとも言えるでしょう。みんなで話しあい、質問しあい、物語を一緒に紡いでいく、そこに面白みがあると思います。 じゃあシナリオはどうなるのか。だれが用意するのでしょうか。 誰も用意しません。そのシナリオの代わりに、このゲームでは初期設定&トラブル構築キットというべき【プレイセット】が存在します。ジャンルは様々。ファンタジーあり、現代劇あり、ホラーでもSFでもヒーロー物でもなんでもりで、共通するのはどれもがみんな問題をはらんでいるということです。この【プレイセット】からその日遊びたいものを選んでしまえば、30分もかからずに各キャラクター間の人間関係、野望の動機、重要な場所や物品がある程度ランダムに決定されます。そうしてそれらを元にキャラクターの設定を考え出したら、ゲームの序盤は終了です。 そのあとは作られた動機の赴くまま、人間関係がはらんだ問題が導くままにゲームを遊べば、おのずと様々なものが破滅へと向うことでしょう。そして中盤に【転落】と呼ばれるイベントが訪れ、これが急展開として大きく物語を揺さぶり、中だるみを防ぎつつ新たな語りをうながし更なる崩壊へと繋がります。こうした自分や他人のキャラクターの崩壊を、みんなが楽しめるように演出し、即興で悲劇や喜劇を紡ぎ出し、そうしてみんな身を持ち崩す、それが『フィアスコ』というゲームです。 こんな説明を読んでみて、即興劇だって? マスター経験ないよ? 何だか難しいゲームなのかな、敷居が高いゲームなのかな、そんなことを思われた方もいるでしょうか。 ですけど大丈夫、問題ありません。即興劇とか言うと難しそうかも知れませんけど、そんなのプレイヤーで遊んでいる時と同じことです。演出だって先に書いた通り、このゲームでは全員がゲームマスターなのですから、演出が思い浮かばなければ素直に聞けばいいのです。「三人寄れば文殊の知恵」の言葉もあります。みんなで意見を出し合えば、結構思いつくものです。 さあ、映画1本見るほどの時間でオリジナルのコーエン兄弟風ストーリーを作ってみませんか。
必要なもの
・ルールブックと「プレイセット」 ・プレイヤー:3~5人。専任のGMは不要。 ・ダイス:プレイヤー1人につき、6面体を4個。内訳は白2個と黒2個。 ・メモ:筆記用具に加え、名刺大のメモ用紙か付箋を20~30枚。 ・所要時間:2時間半ほど。
注意
上記にあげたような三流のチンピラが四苦八苦する映画や小説、マンガなどを思い出してみてください。恐らくは下品な言動などが演出で格好良く使われていたと思います。このゲームでも、それは変わりません。設定上、下ネタ発言や血みどろの演出などに結びつきがちですし、また報われるキャラクターは相当稀です。その点はお気をつけください。
内容物
・ルールブック(表紙広告込み142ページ) ・プレイマット(PDF/JPG) ・紹介手順